アマチュア無線とは
現代では、テレビやスマートフォンなど、電波を使う機器が日常に存在するようになっています。電波は光と同じ電磁波であり、そこに情報を乗せてやりとりをする、ということは知っている方も多いと思います。もしかしたら、自作のラジオを手がけたことがある、という方がいらっしゃるかもしれません。しかし、電波を受け取るだけでなく、思いのままに飛ばしたことがある方はそういないでしょう。
アマチュア無線では、携帯電話やパソコンなどに縛られることなく、無線機を使って電波を飛ばし、遠くにいる人とやりとりをすることができます。電波はルーターなどを経由するのではなく、相手に直接届きます。
しかし、電波は長距離飛ばすことができる代わりに、周波数という制限があります。周波数の近い電波は混ざってしまい、通信に影響を与えます。そのため、各国の政府機関(日本では総務省)によって、電波を効率よく、平等に使うための仕組みが用意されています。つまり、勝手に電波を飛ばしてはいけないことになっています。無免許で車を運転してはいけないように、無免許で勝手に電波を飛ばしてはいけません(携帯電話の場合はキャリアが保証してくれます)。そのため、無線研究部では、部員は全員アマチュア無線技士の免許を所持しています。
さて、ではなぜ"アマチュア"無線なのでしょうか。この場合、アマチュアとは、非営利であることを指します。電波の周波数は地球上で限られた資源なので、本来は使える周波数が厳しく制限されていますが、非営利であるからこそ、自由な周波数の電波を扱うことが許されるのです。
無線研究部でのアマチュア無線活動
無線研究部には、部室備え付けのアンテナがあり、いつでもそこで交信をすることができます。
普段から各局と交信し、カードをやり取りすることもありますが、基本的にはJARL(日本アマチュア無線連盟)主催のコンテストに参加しています。参加する主なコンテストは以下の通りです。コンテストでは、全国のアマチュア無線局と交信し、その交信局数と、どれだけ多くの地域の局と交信したかによって計算される点数で競います。これらは年間スケジュールにも掲載してあります。
ALL JA コンテストは、毎年4月下旬に開催されます。そのため、新入生は無線研の雰囲気を味わう良い機会になります。ALL JA コンテストに参加するにあたって、本館の屋上に一時的なアンテナを張り、部室または講義室から交信を試みます。ALL JA コンテスト自体、規模が大きいので、部員でワイワイ楽しみながら参加します。なお、大会の期間は土曜の午後9時から翌日曜の午後9時までの24時間なので、部員は部室および大学から借りた講義室で泊まります。新入生は免許をまだ持っていないので、直接交信せず、交信の記録を手伝います。
6m and down コンテスト(以下6m&down コンテスト)は、波長6m以下、つまり50MHzよりも高い周波数の電波のみを用いて行われるコンテストで、毎年7月上旬に開催されます。ALL JA コンテスト同様、例年は大岡山キャンパスから参加します。新入生は、これまでに3級のアマチュア無線技士の免許を取得します。そのため、新入生はこのコンテストが初めての交信の機会となります。
フィールドデーコンテストでは、屋外でアンテナを張り、交信をします。大岡山を離れて遠くの山で設営を行なうので、準備は大変ですがとても楽しいです。夕飯は、皆でバーベキューをします。
全市全郡コンテスト(以下ACAG コンテスト)は、ALL JA コンテスト以上に大きな大会で、10月に開催されます。無線研究部が1年で最も力を入れる大会でもあります。
コンテスト以外での活動
無線研では、コンテスト以外でも無線に関する活動を行っています。
まず、#univradio への参加です。これは、各大学に存在する、アマチュア無線のサークル同士が年1回情報交換をする会合です。そこで、部が1年間どのような活動をしてきたかについて発表します。
もうひとつ、QSLカードを発行することもあります。QSLカードは交信に成功したことを示すカードで、ハガキ大の大きさをしています。無線局ごとに独特な装飾がなされたものもあり、これを集めるのもアマチュア無線の目的のひとつであるといえます。